車の燃費表示『WLTCモード』って何? JC08モードとの違いを分かりやすく解説!

クルマ

車のカタログなどで見かける「WLTCモード」は、車の燃費を測定するための国際的な試験方法です。以前使われていた「JC08モード」とは、いくつかの点で大きな違いがあります。

WLTCモードとは?

WLTCモードは「Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle」の略で、「世界統一試験サイクル」とも呼ばれます。その名の通り、世界的に harmonized(調和された)燃費測定基準として導入されました。

このモードの特徴は、より実際の走行状況に近い燃費を測定するために、以下の3つの走行モードを組み合わせて燃費を算出する点です。

  1. 市街地モード(WLTC-L): 信号や渋滞など、比較的低速で頻繁に停車・発進を繰り返す市街地での走行を想定しています。
  2. 郊外モード(WLTC-M): 信号や渋滞の影響が少なく、中速域でスムーズに走行する郊外やバイパス道路での走行を想定しています。
  3. 高速道路モード(WLTC-H): 高速域での一定速度走行や加減速を含む高速道路での走行を想定しています。

カタログなどには、これらのモードごとの燃費と、それらを平均的な使用時間配分で構成した「WLTCモード総合燃費」が併記されています。これにより、ドライバーは自分の主な走行環境に合わせた燃費をより具体的に把握できるようになりました。

JC08モードとの違いは?

JC08モードは、日本独自の燃費測定方法でした。WLTCモードが導入された背景には、JC08モードでは実際の燃費との乖離が大きいという課題がありました。

主な違いは以下の通りです。

  • 国際基準か国内基準か:
    • WLTCモード: 国際的な基準です。
    • JC08モード: 日本独自の基準でした。
  • 測定条件の厳しさ:
    • WLTCモード:
      • コールドスタート(冷機状態からの測定)が100%: エンジンが冷えた状態から試験を開始するため、暖機に時間がかかり燃費が悪化する傾向も考慮されます。より実際の使用状況に近い条件です。
      • 平均速度、最高速度の引き上げ: JC08モードよりも高い速度域での走行が含まれます。
      • 加減速の頻度増加: より複雑な加減速パターンが採用されています。
      • 走行時間・距離の増加: より長い時間・距離の走行を想定しています。
      • アイドリング時間の短縮: 実際の走行におけるアイドリング時間の減少を反映しています。
      • 積載重量の考慮: 試験車両の重量も重めに設定され、より実態に近づけられています。
    • JC08モード:
      • コールドスタートの比率が低く、カタログ燃費と実燃費の差が生じやすい傾向がありました。
      • WLTCモードと比較して、平均速度や最高速度が低く、加減速も少なめでした。
  • 表示項目:
    • WLTCモード: 総合燃費に加えて、「市街地」「郊外」「高速道路」の3つの走行モードごとの燃費が表示されます。
    • JC08モード: 総合燃費のみの表示でした。

なぜJC08モードからWLTCモードに変わったのか?

JC08モードからWLTCモードへの移行は、主に以下の理由によります。

  1. 実燃費との乖離の解消: JC08モードは、実際の走行状況と乖離があり、カタログ燃費と実燃費の間に大きな差があることが問題視されていました。WLTCモードは、より現実の走行状況(冷機状態での発進、多様な加減速、高速走行など)を反映した条件で測定されるため、実燃費に近い数値が得られるようになりました。これにより、ユーザーは車の燃費性能をより正確に判断できるようになりました。
  2. 国際的な比較の容易さ: 従来の燃費測定方法は国や地域によって異なっていたため、国際間で車の燃費性能を比較することが困難でした。WLTCモードは世界共通の基準であるため、異なる国の車の燃費性能を公平に比較することが可能になりました。これは、自動車メーカーにとっても国際的な開発や販売において利点があります。
  3. 現代の交通状況への対応: JC08モードが策定された頃よりも、現代の交通状況はより複雑になり、高速道路の利用や多様な運転パターンが増えています。WLTCモードは、市街地、郊外、高速道路といった異なる走行パターンを考慮することで、現代の交通環境により適した測定が可能となりました。

まとめ

このように、WLTCモードの導入は、より正確で実用的な燃費情報を提供し、国際的な自動車市場の透明性を高めることを目的としています。そのため、現在では多くの車のカタログでWLTCモードでの燃費が表示されています。WLTCモードの燃費は、JC08モードよりも数値が低くなる傾向がありますが、これは実際の燃費に近づいた結果と言えます。

市街地・郊外・高速道路モードごとの燃費表示を見ることで、自分の主な走行シーンに合った車を選びやすくもなります。例えば、街乗りが多いかたなら「市街地モード」の燃費を重視するなど。

ぜひ新しい燃費表示を理解して、賢いカーライフをおくりましょう!

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