我が家の太陽光(PV)パネル設置はハウジングメーカーにお任せでしたが、いまになってどんなPVパネルの置き方がベストなのかが気になりました。
よその家や太陽光発電所をみてもPVパネルの向きは結構バラバラにみえます。
PVパネルをどのように設置すれば最も効率よく発電できるでしょうか。
太陽の動きに追従するわけにもいかないので一年通して最適な設置条件がいいのかを調べてみました。
<結論>
発電量だけを考えると太陽光パネル設置場所の緯度に合わせた傾斜角度(関東地方なら35°程度)で真南に向ける。
ただし平らなところに何列かに分けて設置する場合は、太陽高度が低い冬に後ろのパネルに影がかからないように傾斜角度は小さめにするのが現実的です。
太陽光をできるだけ多くの電気に変えたい
太陽光発電は光のエネルギーを電気に変える『光電効果』を利用しています。ですから太陽光を多くの電気に変えるには、
✅できるだけパネル面に垂直に光をあてる
✅できるだけ長い時間パネルに光をあてる
といいです。
理想をいえばPVパネルを太陽の正面に向け、太陽の動きに合わせてパネルの向きを変えることができればベストです。
さすがにそれはあまり現実的ではないので、どんな向きでPVパネルを設置すると多くの電気が取り出せるか調べてみました。
太陽の動き
太陽は東からのぼって西に沈みます。日本では夏は高くのぼり昼間の時間も長く、冬は低い位置までしかのぼらず昼間の時間も短いです。
これは地球の自転する軸が太陽の周りをまわる面に対して傾いているためです。
ですから太陽光をできるだけ多く電気に変えようとしたとき、PVパネルの一番いい傾斜角度(以下、角度)は季節によって違うことになります。
PVパネルの理想的な置き方
できるだけPVパネル面に垂直に近い角度で長い時間光をあてるにはどうしたらいいでしょうか。
どの季節でも太陽が一番高くのぼったときの方向にPVパネルが正面を向くと長い時間光があたります。ですから向きは真南がベストです。
また太陽が一番高くのぼったとき垂直に光があたるPVパネルの角度がベストです。その角度は夏と冬では違ってきます。
絵で示したように季節によって日射の角度が変わるので、PVパネルのベストな角度は変わります。
春分・秋分の日で36.4°(緯度と同じ)、夏至は13°(緯度-23.4°)、冬至は59.8°(緯度+23.4°)になります。
PVパネルの角度を固定したときに季節によってパネルが受ける日射量がどうなるのかをみてみましょう。
ここでは仮にPVパネル角度36.4°のときの有効面積(∝受ける日射量です)を1としました。
そうするとPVパネル角度を36.4°で設置したときに比べて、例えば、
・PVパネル角度を13°で設置したら、夏至のときは+9%ですが冬至では-25%
・PVパネル角度を59.8°で設置したら、冬至のときは+9%ですが夏至では-25%
ですから一年通して考えるとPVパネル角度は設置場所の緯度に合わせるのがベストです。(関東地方なら35°ぐらい)
実際PVパネルはどう置かれているのか
実際PVパネルはどのように設置されているのでしょうか。
ネットや実物を調べるとやはり屋根の形や設置場所によって様々です。
例えば、
>南向きで傾斜角度は30°
発電に一番効率的な角度は30°と言われますが、これはあくまで平均的な値であり、地域や季節、方位によって最適な設置角度は異なるばかりでなく、設置状況によってはあえて最適角度にしない方法を取る場合もあります。
https://standard-project.net/solar/angle.html
上の記事にもありますが最適傾斜角はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の日射量データベースでも確認できます。
月平均データベース(MONSOLA-11、1981~2009 年のデータ)によると、
群馬県前橋市の最適傾斜角は平均35.8°でした。(春22.5°、夏7.1°、秋44.5°、冬58.7°)
ただこのデータベースは最新化されていて、MONSOLA-20(2010~2018年のデータ)を使いWEB版日射量データベース閲覧システムで確認すると、群馬県前橋市の最適傾斜角は平均39°(春27°、夏13°、秋47°、冬62°)と以前より大き目な角度になっています。
NEDOの最適傾斜角は過去の日射量データを元に求めているので、30年前と最近の天候の傾向の変化などの影響も含まれると考えます。
>20~30度が全体の76%
2017年までに米国で導入された発電事業用太陽光発電所のうち、累積容量で約40%は固定式架台に設置したものであった。さらに、導入された固定式架台のうち76%は20~30度の間の傾斜角度で取り付けられていた
米メガソーラー設計に見る「傾斜角」の決め方 – 特集 – メガソーラービジネス : 日経BP (nikkeibp.co.jp)
アメリカの例ですが、緯度より小さい「20度」選択し、夏季に効率的に発電する作戦もあるようです。
PVパネルを何列かに分けて設置するとき、パネル傾斜角を大きくすると、太陽が低い位置にある冬は長い影ができて後ろのパネルに光があたらなくなります。
影にならないように距離をとると、それだけ広い面積の土地が必要になってしまいます。
それもマズいので小さめな角度になるんでしょうね。
まとめ
発電量だけを考えると太陽光パネル設置場所の緯度に合わせた傾斜角度(関東地方なら35°程度)で真南に向けるのがベストです。
ただし平らなところに何列かに分けて設置する場合は、太陽高度が低い冬に後ろのパネルに影がかからないように傾斜角度は小さめにするのが現実的です。
屋根が切妻か片流れで真南向き、角度が35°ぐらいの屋根がPVパネルをのせるには関東地方では理想的ですね。
うちは陸屋根でPVパネル同士の前後間隔が約20cmで3列、パネル角度約10°でおかれています。夏の太陽が高いときはいいですが冬は最良値の7割ぐらいまでしか発電できないと思われます。
PVパネル角度が10°なので夏至と冬至の有効面積比が0.7÷1.08=0.65になることからすると、5月、6月の日射量から推定した冬の一日当たり平均PV発電量9.1kWh(*関連記事)は5.9kWhぐらいまで下がりそうです。
冬になったら一番後ろの列だけでもPVパネルの角度を60°にしてどのくらい挽回できるのか、その効果を確かめたいと思います。
ではまた。
参考
・NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のデータベース
日射量データベース、日本の風力発電設備・導入実績などのデータベース/ツールが利用できます。> https://www.nedo.go.jp/library/shiryou_database.html
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